読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Free Tone,Free Sports

ー似非スポーツ評論家&音楽家が斜め上の目線で主にラグビーとBABYMETALを中心に、社会トピックを切り捨て御免ー

【ラグビー】点差は完敗!反してディテールでは収穫の多かった船出ー日本VSアルゼンチンー

ラグビーというスポーツ程、ファン層の評価や空気感が一致せずに掴みにくいものは無いのかも知れない・・・

 

起源は同じフットボールでも、サッカーとラグビーでは見方も評価も歴史、ヒエラルキーも全く異なる。ファンの見る目、民度も深いものが求められる、それがラグビーでは無いかと時折痛感させられます。

 

実力差がスコアに表れにくいサッカーと違い、ラグビーは時に実力差以上のものがスコアに表れる、正に無慈悲、残酷であり、裏を返せばごまかしも効かない「紳士のスポーツ」、という事でしょうか。

 

その為、まだまだラグビー観戦の一般化が乏しい日本としては、試合結果に対して観戦者の評価、印象が非常に異なります。

 

それだけ多様性のあるスポーツという事であり、競技そのものやアスリートに対する理解も求めらるスポーツでもありましょう。

 

いわゆるビギナーはスポーツの奥深さ、美しさよりも「勝ち負け」という最もシンプルな指標に心を預けるのが常套であり、負ける試合を見る事など望まないのが当たり前。負ければむかつくし、凹むし、更には八つ当たりもしたくなるw

それならまだましで、ビギナーは関心を寄せなくなるでしょう。

 

それ故、インターナショナルマッチという、日本人が最もチームに肩入れし易い試合は絶対に勝たなければいけないという現実。

 

しかし、ラグビーとはやる方も観る方も堪える事を試されるスポーツである事も現実に違いありません。特に日本の立場としては。

 

「あ~、完敗過ぎて途中からチャンネル変えた・・」

「個々で頑張っていた選手もいたし、初キャップも多い中で良い面もあったよね」

「準備期間なさすぎワロス」

 

と、四方八方から様々な意見が舞い込んだ、昨日の一戦に切り込みます!

 

 

【日本vsアルゼンチン@秩父宮ラグビー場

 

快晴でスポーツ日和、日なたは暑いですが、気温も大分下がって来ているのでラグビーコンディションは良好でしょう。

 

逆にこれ以上寒くなると、選手にとっては丁度良くてもお客さんが極寒で耐えられなくなりますw真冬の正月の秩父宮や国立は修行の域です。雨でも降ろうものなら正に生き地獄!

 

f:id:T-FOX:20161106221225j:plain

f:id:T-FOX:20161106221238j:plain

f:id:T-FOX:20161106221249j:plain

f:id:T-FOX:20161106221300j:plain

f:id:T-FOX:20161106221311j:plain

 

何度来ても思うのが、秩父宮ラグビー場のフィールドの近さは素晴らしいですね。

今季のトップリーグは陸上トラック付きのスタジアムで開催される事が多いのですが、距離が遠くて臨場感が全く無い。

これではその球技の醍醐味というのは伝わりませんよね。バレーボールやバスケットをそんな遠いところでやられたら、人がちょこまか動いてるだけのイベントに成り下がる事必至!!

3番の畠山選手も以前ツイッターで呟いていましたが、球技と陸上競技場は基本的に水と油なのです。サッカーやラグビー陸上競技場でやるという発想が球技の本質からずれているのですが、欧州と違ってスポーツ文化の未熟な日本では大型の専用スタジアムを作るのは難しいというのもまた現実。

 

さて、試合内容ですが、既に報道されているように、20ー54で負けました。相手はW杯4強のアルゼンチン。さすがと言わんばかりの洗練されたバックスの連携プレーに翻弄され、簡単にトライを奪われてしまったのが致命的でした。

 

組織の成熟度には大きな差があったと言えます。

 

しかし、個人のワークレートという点においてある程度互角にやり敢えていた、という印象も持ちました。現地観戦から帰宅後、録画してあった番組を見て改めて分かった印象です。

 

スタッツでもターンオーバー数はアルゼンチンを上回っており、ブレイクダウンの攻防で互角にやりあっている一つの指標でもあると思います。

 

初キャップ組が多い中でアルゼンチン相手に、ラグビーの根本であるフィジカルバトルで受けに回らなかった事は望外の収穫と言えるでしょう。

 

私は10年以上前からラグビーを見守っていますが、伝統国クラスのチームともなると、点差以上にフィジカルで歯が立たないというどうしようもない状況があり、こうなってしまうと選手の闘志が萎えてしまいます。そうなると試合自体がお寒いものになってしまい、「あ〜あ」っていう心情になってしまうわけですね。

 

殆ど仕込みの期間も無い中でまともに戦い、ポジティブな点もあった事はJSPORTSで解説していたヤマハ監督の清宮氏、サニックス監督の藤井氏もコメントしていました。

 

選手のコメントからも、やるべき事をやったからこそ課題がはっきり見えたという前向きなコメントが多かったように思います。簡単にポイント毎に振り返ってみたいと思います。

 

◯これが無いと試合が崩壊。日本の生命線、セットプレー

 

W杯2015のフィーバーでファンの日の目を浴びるようになったセットプレーの要、スクラム

中盤辺りに劣勢に立たされるものの、修正で持ち直し、相手ペナルティも2つもらい、国産仕様スクラムを浸透させている初段階としては及第点と言えるのでは無いでしょうか。アルゼンチンのスクラム相手にあれだけやれれば大抵の国のスクラムに対処出来るでしょう。

 

そして、スクラムよりむしろ心配だったラインアウト。こちらは2本ロストしましたが、概ね安定して供給出来た事はスクラム以上に安定していた印象です、しかし、ロストからのカウンターでトライまで繋がれてるので守備への切り替えは課題。

 

◯空母でありカタパルトでもある(畠山選手、談)日本の土台、FW陣

初キャップが多く、また、これまで主軸だったトンプソン、大野、真壁といったロック陣、リーチやツイと言ったフランカー陣がごっそりいない中、日本人の泣き所のポジションにおいて日本人選手が予想以上に奮闘してくれていたのでは無いでしょうか。特にロックやフランカーは攻守に常に絡むポジションですが、ワークレートという点で先発の梶川、三村はブレイクダウンとタックルで良い仕事が出来ていたと思います。逆にサムエラやウヴェといった外国出身選手が目立たなかったという印象です。

勿論彼らにも頑張ってもらいたいのですが、特にバックローについては日本人はダメと、エディ・ジョーンズからも諦められていたので、この泣きどころに日本人が割って入っていくのは大歓迎です。

 

但し、バックローはリーチやツイという大物がいるのでポジション争いは熾烈です。

 

◯空母、カタパルトから発進する戦闘機(畠山選手、談)、BK陣

こちらも日本人選手が良いインパクトを残していたのでは無いでしょうか。リオ五輪代表のレメキは最後のトライを含め、効果的な突破も見せていたのですが、期待していたアマナキ・ロトアヘアが13番というラインブレイカーポジションでありながら効果的なランが少なかったのと、軽率なプレーでターンオーバーされ、失点の機会を作ってしまいました。

彼が初キャップという事を考えても、やはり田村や立川、山田といったキャップを多く持っている選手はプレーに安定感がありました。特に田村と立川の10番12番の関係はエディー時代にはほぼ無かったと記憶していますが、すっかり板についてきましたね。

特に、レメキのトライに繋がった立川経由のループプレーはサンウルブズの時からやっている彼らの十八番で、当時はセットプレーからのサインでやっていたと思うのですが、今回はインプレー中にこの技をかましていたので、ものにしてきているんでしょうね。

 

 

 ◯全体の総括

エディー時代とうって変って、ポゼッションだけにこだわらないでキックを利用して効果的に陣地を取り、逆に相手を攻めさせてスタミナを奪う戦略だったようです。その証拠にエディー時代はほぼ使用していなかったハイパントを前半かなり意図的に使っていました。

 

「日本人は守備に回ると体格差で叶わないからボールを保持して攻撃する」

 

というのがエディーの趣旨でしたが、新監督のジョセフは逆に相手に攻めさせたという、一見真逆の論法なのが興味深いところ。ただ、二人の方向性は一緒のようで、

 

無駄にスタミナを消費しない」

 

という事は一致しています。キックで陣地を稼いで守備で相手のミスを誘い、ターンオーバーからアンストラクチャーのカウンターで仕留める。

これは上位国、特にNZ辺りの十八番ですが、ジョセフ監督は個々の選手に高いスペックが必要なこの戦術を使っていくのでしょうか。エディーは全くやらなかった戦術です。

これをやるには相手にブレイクされない守備力が必要ですが、ジョセフ監督は大胆にも日本がこれをやりきる能力があると見ているのでしょうか。確かに今回のトライは連携不足が招いた失点が殆どでしたので、落とし込めれば効率的に点数を重ねるチームに成長できますが、個の守備力も求められてくる事だと思いますので、1ヶ月の欧州遠征でどれだけチームとして機能させられるか、見所ですね。

 

さて、今週末、12日(土)にはテストマッチ2戦目、ジョージア戦です。今回の試合からどう変化、成長していくか、1戦1戦見守っていきましょう。